出羽亀岡文殊堂に奉納された直江兼続の漢詩「逢恋」は、男女の秘めた逢瀬を詠んだものです。
直江兼続の作品7首「逢恋」
逢恋
ほうれん
逢恋
風花雪月不関情
ふうかせつげつ じょうに かんせず
風花雪月 情に 関せず
邂逅相逢慰此生
かいこうし あいおうて このせいをなぐさむ
邂逅し 相逢うて この生を慰む
私語今宵別無事
しごして こよいわかれて ことなし
私語して 今宵別れて 事なし
共修河誓又山盟
ともに かせん また さんめいをしゅうす
共に 河誓 又 山盟を修す
思いがけなく巡り逢って、お互いの人生を慰め合っているのだから。
二人だけの物語りで、胸の内をさらけ出したが、もう、別れの刻がきた。
別れの際は何事もなかったように秘密を守った。
何事もなかったような秘め事ではあるが、しかし二人は、山河に二人だけの永遠の誓いを立てた。
この詩も、関が原の戦いの2年後で、慶長7年(1602)12月27日、直江が43歳の時、高畠の亀岡文殊堂の詩歌の会で発表されたもので現存する。
後の『織女惜別』の詩と構成においてもよく似ており、承句に「相逢うてこの生を慰む」とあり、転句に「私語して・・・」とあることは、全く同工異曲である。
誤りを恐れずにいえば、この2つの詩は同じ女性への憶いではないかと推察される。
※解釈文・「花に背いて帰る」(野村研三著 米沢御堀端史蹟保存会発行)より転用させていただきました。
※参考資料・「直江兼続伝」(渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 酸漿出版発行)
※参考資料・「直江兼続伝」(渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 酸漿出版発行)