アクセス解析
レンタル掲示板

戦国時代・上杉家の執政・直江兼続の偉業を紹介する専門サイトです。主に米沢での偉業を中心にご紹介します。

出羽亀岡文殊堂に奉納された直江兼続の漢詩「山家」は、山奥深くの古びた家から見える、時が止まったような静寂な世界を詠んだものです。

直江兼続の作品7首「山家」

山家・現存するもの
山家
さんが
山家
盤石垂ら避世塵
ばんじゃくらをたらして    せじんをさく
盤石らを垂らして 世塵を避く
山中旧宅独容身
さんちゅうのきゅうたくに ひとりみをいる
山中の旧宅に 独り身を容る
白雲深処行人少
はくうんふかきところ こうじんすくなし
白雲深き処 行人少なし
峭壁さん峯蓋四隣
しょうへきさんぽう しりんをおおう
峭壁さん峯 四隣を蓋う
 り(くさかんむりに「縵」)(1)(つたかずら)の木を、天上から垂らしておおいかぶさるような巨大な岩がある風景のなかに世俗を避けている。
 山奥深くのふるびた山家に隠遁者のようにたった一人で身を寄せていると、俗世を忘れて時間が止まったような境地に入ることができる。
 あたり一面は深々と白い雲が立ち込めて、行き交う旅人も少ない。ただただ、険しい崖や重なり合った峯々が四方八方におおいかぶさっているばかりで、荘厳さをさらにましているようだ。
 「峭壁」は壁のように切り立った崖のことで「さん(2)峯」は峯が幾重にも重なりあっているさま。
 壁のように垂直に切り立った崖のような巨大な岩の荒々しい情景と、あたり一面が白い雲につつまれた静寂さは、本人の心境を映し出しているようにも詠める詩だ。せめて詩作の世界だけでも俗世を避けようとする文人直江の望みでもあったのだろうか。

(1)くさかんむりに「縵」
(2)てへんに、右は「先」を2つ並べ下に「貝」
※解釈文・「花に背いて帰る」(野村研三著 米沢御堀端史蹟保存会発行)より転用させていただきました。
※参考資料・「直江兼続伝」(渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 酸漿出版発行)