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戦国時代・上杉家の執政・直江兼続の偉業を紹介する専門サイトです。主に米沢での偉業を中心にご紹介します。

出羽亀岡文殊堂に奉納された直江兼続の漢詩「松雪」は、深く厳しい山中の吹雪の中、凛と立つ松の木の情景を詠んだものです。

直江兼続の作品7首「松雪」

松雪
しょうせつ
松雪
孤松吹雪倚岩檐
こしょうふぶきして  がんえんにより
孤松吹雪して 岩檐に倚り
一夜枝頭白髪添
いちや  しとうはくはつそう
一夜 枝頭白髪添う
睡起朝来開箔見
すいきちょうらい すだれをひらいてみれば
睡起朝来 箔を開いて見れば
は橋詩思在蒼髯
はきょうのししは    そうぜんにあり
は橋の詩思は 蒼髯に在り
 凛として孤高を思わせるような一本の松が、吹雪にさらされながらも軒のように鋭く張り出した岩肌に立っている。一夜が明けて、枝には仙人風の老人の白髪を思わせるような真っ白な雪がつもっている。睡りから覚めて床から起き出して、簾をめくり上げて眺めていると、吹雪にさらされ白い雪がつもった一本の松の風情に詩ごころが湧いてくる。

は(さんずいに「霸」)(1)橋」は中国の唐の長安の都の近くにあったは水橋という橋のあった地名のことで、ここに立つと詩ごころが湧いてくるといわれていたところ。「箔」は簾のことで「蒼髯」は蒼(あおい)髯(ひげ)にたとえられる松の木の異称。

 深く厳しい山中の吹雪にもめげず、凛として立ち向かっている一本の松の木は直江自身の姿とダブらせながらも、美しい山水画の幽玄な世界を想像させる詩だ。

(1)さんずいに「霸」
※解釈文・「花に背いて帰る」(野村研三著 米沢御堀端史蹟保存会発行)より転用させていただきました。
※参考資料・「直江兼続伝」(渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 酸漿出版発行)