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戦国時代・上杉家の執政・直江兼続の偉業を紹介する専門サイトです。主に米沢での偉業を中心にご紹介します。

出羽亀岡文殊堂に奉納された直江兼続の漢詩「菊花」は、秋の菊の美しさを中国の絶世の美女に例えて詠んだものです。

直江兼続の作品7首「菊花」

菊花・現存するもの
菊花
きくか
菊花
菊逢秋日露香奇
きくはしゅうじつにおうて   ろかきなり
菊は秋日に逢うて 露香奇なり
白々紅々華満枝
はくはくこうこう はなえだにみつ
白々紅々 華枝に満つ
好把西施旧脂粉
よし   せいしがきゅうしふんをとって
好し 西施が旧脂粉を把って
淡粧濃抹上東り
たんしょうのうまつして とうりにのぼさん
淡粧濃抹して 東りに上さん
 菊とおだやかな秋の陽射しが逢って、露に光りながらの花の香りが、この世のものとは思えないほどの美しさと心地よさだ。
 白い花々も紅い花々もそれぞれが枝に満開に咲きほこっている。さあ!こんなにも美しく心地よい風情なら、中国の越の国の有名な絶世の傾国の美女といわれた西施が昔つけていたお白粉姿を思い浮かべてみよう。
 そして、露に光り輝く秋の陽射しを浴びた菊の花々にも美しい薄化粧や濃い化粧を施して東の垣根に咲かせてみよう。

 「西施」は中国春秋時代の美女といわれる故事で、菊の美しさにたとえている。また「東り(くさかんむりに「離」)(1)」は、中国晋の詩人陶渕明の『飲酒』と題した詩の一節のなかにある「菊を採る東り(くさかんむりに「離」)の下、悠然として南山を見る」によったものか。

 この詩も、中国の故事や有名な詩人の漢詩からそのイメージを引用しながら深みと広さを表現しており直江の博学と見識の高さをみることができる。

(1)くさかんむりに「離」
※解釈文・「花に背いて帰る」(野村研三著 米沢御堀端史蹟保存会発行)より転用させていただきました。
※参考資料・「直江兼続伝」(渡部恵吉・小野栄・遠藤綺一郎共著 酸漿出版発行)